セクシュアルハラスメント(セクハラ)
セクシュアルハラスメントの定義
職場において行われる性的な言動に対する、その雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け(対価型)、または当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害される(環境型)こと。
定義の解説
セクシュアルハラスメントの類型は、性的な内容の発言や行動に対して、従業員が拒否・抵抗をしたことにより、解雇や降給などの不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)および、性的な言動によりその職場の従業員の就業環境が不快なものとなり、能力の発揮が十分にできない状況が発生すること(環境型セクシュアルハラスメント)の2種類あります。
職場におけるセクシュアルハラスメントには、男性から女性に対する言動に限らず、女性から男性への言動や同性間のものも含まれます。
また、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、「性的な言動」であれば、セクシュアルハラスメントに該当します。
セクシュアルハラスメントの
具体的な言動事例
対価型セクシュアルハラスメント
- 同僚から交際を迫られて断ったら、仕事に必要な情報を教えてくれなくなった。
- 上司から二人での食事に何度も誘われ、断ったら人事評価を正当な理由なく下げられた。
- 経営者から性的な関係を要求されたが、拒否したら解雇された。
- 出張中の車中で上司から腰、胸などを触られたことに抵抗したため、通勤できないような事業所に配置転換させられた。
環境型セクシュアルハラスメント
- 性的な内容の噂を職場に流される。
- 意に反して「男らしくない/女性っぽくない」や「彼氏/彼女いないの?」など言われる。
- (相手はコミュニケーションのつもりかもしれないが)意に反して身体に触れられる。
- 職場で性的な話題をふられたり、わいせつな話を聞かされる。
- 女性だからといってお酌を強要される。
- 容姿や身体的特徴について望まないことを言われる。
セクシュアルハラスメントの判断基準
被害者と同じ立場におかれた平均的な従業員が不快と感じ、その対応により不利益を受けた場合、または能力発揮や就業環境に悪影響がある場合は該当します。
セクシュアルハラスメントの状況は多様な為、判断にあたっては個別の状況を斟酌する必要があり、被害者の主観を重視しつつも、一定の客観性が求められるので、平均的な従業員の感じ方を基準とすることが適当とされています。
ただし、行為者が、相手が平均的な従業員と異なる感じ方をすることを知っていたときは、セクシュアルハラスメントと判断されることがあります。
セクシュアルハラスメント自己診断
- 挨拶代わりに肩をたたいたり、「〇〇ちゃん」と呼んだりするのはコミュニケーション手段の1つだと思う。
【解説】
一人前の戦力・パートナーと認めているとはいえません。業務上必要とはいえない接触は相手が不快に感じることがあります。 - 社内恋愛がうまくいかなかった相手について、「異性関係が乱れている」等の噂を流すのは、個人的な問題である。
【解説】
意図的な噂を流布することで相手は不快に思うでしょう。セクシュアルハラスメントの典型といえます。個人的な恨みをこのような形で表すのは潔くありません。 - 結婚したばかりの同僚に機会があるごとに「子どもはまだか?」と訊くのは当然だ。
【解説】
親切心で尋ねたとしても、業務に関係のない場合、個人のプライバシーに関することは尋ねないほうがよいといえます。 - デートに誘うなどの個人間のことはセクシュアルハラスメントとは関係ないと思う。
【解説】
個人間の問題であっても相手が嫌がっているのに何度もしつこく誘うとセクシュアルハラスメントになる可能性があります。 - 多少の性的な冗談やからかいは、社会人なら受け流すくらいの度量がほしい。
【解説】
冗談であっても相手が不快に思ったり、傷ついたりすることがあります。笑って受け流せ、というのは勝手な論理です。 - 露出度の高い服装で出社する人は、セクシュアルハラスメントに遭う原因を自分でつくっていると思う。
【解説】
それは責任を転嫁する考えです。露出度の高い服装を着用しているからと言ってセクシュアルハラスメントが許されることになりません。もし職場にふさわしくない服装なら、服務規律の観点から注意をすべきです。 - 後輩男性の社会勉強のために、スナックやクラブ、風俗店などに誘うのは問題ないと思う。
【解説】
本人のためと思ってすることも、受け取る側にとってみれば不快に感じることもあります。男性だからという決めつけがハラスメントにつながる可能性があります。 - 任意参加の歓迎会で、上司の隣に異性の新人を座らせたり、お酌やカラオケのヂュエットをするように言うのは構わないと思う。
【解説】
任意参加といっても職場の飲み会であれば上司の手前渋々参加している人がいるかもしれません。また、異性の上司の隣に座ることの強要等自体、対等なパートナーとして見ていない意識の表れであり、今後のセクシュアルハラスメントにつながる可能性があります。 - 最近は同性婚や性同一性障害などが話題になるが、そんな人は周囲にいるはずがないと思う。
【解説】
統計的にはLGBT(性的マイノリティ)に該当する人は8.9%と言われています。カミングアウトをしていないだけで周囲にいるという前提で言動に注意しないと、当事者に不快な思いをさせ、ハラスメントにつながります。 - セクシュアルハラスメントに敏感になりすぎると日常のコミュニケーションがギスギスしたものになると思う。
【解説】
相手が不快に思う行動は良いコミュニケーションとはいえません。相手を思いやる気持ちを持って本当のコミュニケーションに努めましょう。