ハラスメントを起こさないために注意するべきこと

ハラスメントの予防と対策

ハラスメントの防止対策は、企業規模に関係なく必ず講じる必要があります。

ハラスメントは人間関係のトラブルですが、単なる個人間の問題として捉えるのではなく、労務管理上の問題として、組織として解決を図っていくことが重要です。

(1)ハラスメントを起こさないために
注意すべきこと

従業員個々が自分の言動で注意すべきこと

思い込みは危険!

「本人のためを思って」とか、「この程度なら許される」、「自分達が若い時はこれが普通だった」というのは自分勝手な思い込みである場合が多いものです。

拒否や抗議がないから大丈夫と考えるのは誤りです。特にパワハラの場合は、職務上のパワーを背景に行われるので相手が何も言えない場合がほとんどです。

相手の立場や気持ちを尊重し、どんな言動がハラスメントになるのか正しく認識しましょう。

相手の気持ちが分かったらすぐに止める

相手が不快に感じたり、嫌がっていることがわかったら、二度と同じような言動をとらないようにすることが重要です。

指導を行う場合は特に気をつける

指導は、改善すべき事柄に焦点を当てて行う必要があります。また、相手の成長のために行うものであることを十分に認識することが大切です。

指導する相手に焦点が当たってしまうと、不満や怒りの感情が、つい人格否定の言動につながってしまうことがあるため、言葉を発する前に一呼吸置くなどの意識を持ちましょう。

見て見ぬふりはNG!

「自分はしないから、されないから関係ない」ではなく、周囲でハラスメントと思われる言動に気づいたら、被害者に声をかけて話を聴いたり、相談窓口に相談するよう助言するなど、適切な対応を心がけましょう。

管理職が注意すべきこと

ハラスメント防止対策について正しい認識を持つ

管理職として、ハラスメント防止に関する企業の方針を正しく理解しておく必要があります。管理職が、相談窓口の体制や懲戒規定等を理解しておくことで、職場で問題が発生した時に迅速、適切な対応につながります。

日常的な職場環境に配慮する

管理職は、職場におけるハラスメントを未然に防止するために、日常的に職場環境に配慮し、職場内での活発・適切なコミュニケーションの維持に努める必要があります。

職場からハラスメントの被害者や行為者を出さないように、日頃から部下の言動や勤務態度、心身の状況などに気を配り、問題の発生を見逃さないようにしましょう。

もし、ハラスメント被害の兆候が感じられたら機会を捉えて声をかけるなどの働きかけをして下さい。

適切な人材マネジメントを推進する

管理職として、部下の能力を高め、業務を適切に分担させ、成果を公平に評価するために指示や指導が必要になる場面があります。

自身がハラスメントを行なわないように留意するのはもちろん、部下がハラスメントを起こしたり、受けたりしていないか、注意を払う必要があります。

事業主・人事担当者が雇用管理上措置すべきこと

事業主の方針の明確化、およびその周知・啓発

事業主は、ハラスメント防止や対処に関する方針を明確化し、従業員に周知・啓発し、ハラスメント防止に関する従業員の意識を醸成する必要があります。

相談に対応する体制づくりとその周知

職場におけるハラスメント対策としては、未然の防止とともに、問題が起きた時の迅速な対応が大切です。

そのためには、相談(苦情申し立て等含む)を受け付ける窓口を設置し、それを広く従業員に周知することで気軽に相談できる体制を整えることが必要です。

その際には、相談対応における守秘義務を徹底するなど、誰もが安心して話のできる相談担当者を配置するなど、窓口の信頼を高めましょう。

なお、社内に相談窓口の設置が難しい場合や、社内だけでは拾いきれない問題に対応するために、客観的に対応できる社会保険労務士等、専門家による外部相談窓口を利用することも効果的です。

事後の適切な対応

事業主は、ハラスメントの相談があった場合、その事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正な対策を講じなければなりません。

状況に応じて、配置転換や被害者の労働条件上の不利益の回復、行為者に対する処分等の措置を適正に行うことや、再発防止策を講じておく必要があります。

ハラスメントの原因や背景となる要因の解消

職場でハラスメントが発生した場合、適切な対応を行なったとしても、その原因や背景となる要因を解消しなければ再発の可能性があります。

当事者への教育はもとより、職場の状況を確認し、職場環境の整備や、必要に応じて社内規程等の改定や周知等、社内での啓発活動が再発防止に必要です。

当事者のプライバシー保護

相談内容や相談したことそのものが周囲に漏れることで二次被害を受けたり、行為者の行為がエスカレートしてしまうこともあります。

当時者のプライバシーを確実に保護する体制を整え、それをきちんと周知することにより、従業員が安心して相談することができます。

相談者や協力者に対する不利益な取扱いの禁止

相談窓口に相談したことや事実確認に協力したこと等を理由として、解雇その他の不利益な取扱いを行うことは法律で禁止されています。

不利益な取扱いを行わないことを社内規定等で徹底に、きちんと周知しておく必要があります。

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