月80時間を超える残業が疑われる事業場への監督指導を徹底

最近、長時間労働にまつわるニュースが多く見受けられます。

1月17日に厚生労働省が、平成284月から9月までに長時間労働が疑われる 10,059 事業場に対して実施した労働基準監督署による監督指導の実施結果を公表しました。

 

この監督指導は、1か月当たり80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場を対象としています。

 

この10,059 事業場のうち、違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行ったのは4,41643.9%)事業場でした。なお、このうち実際に月80時間を超える残業が認められた事業場は、3,450事業場(78.1%)でした。

 

厚生労働省では今後も、月80時間を超える残業が疑われる事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行っていくとのことです。

 

下記、厚生労働省の報道関係資料をご参照ください。

80時間を超える残業が発生していること、ならびに賃金不払残業があることは企業存続を揺るがす事態となります。早急に対処してください。

 

【平成284月から9月までに実施した監督指導結果のポイント】

 

⑴ 監督指導の実施事業場 : 10,059 事業場

このうち、6,659事業場(全体の66.2%)で労働基準法などの法令違反あり。

⑵ 主な違反内容 [⑴のうち、下記➀から➂の法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]

➀ 違法な時間外・休日労働があったもの : 4,416事業場(43.9%)

うち、時間外・休日労働※1の実績が最も長い労働者の時間数が1か月当たり80時間を超えるもの:3,450事業場 (78.1%)

1か月当たり100時間を超えるもの:2,419事業場(54.8%)

1か月当たり150時間を超えるもの:489事業場 (11.1%)

1か月当たり200時間を超えるもの:116事業場 ( 2.6%)

➁ 賃金不払残業があったもの:637事業場( 6.3%)

うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1か月当たり80時間を超えるもの:400事業場 (62.8%)

➂ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:1,043 事業場(10.4%)

⑶ 主な健康障害防止に関する指導の状況 [⑴のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]

➀ 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:8,683事業場(86.3%)

うち、時間外労働を月80時間※2以内に削減するよう指導したもの:6,060事業場 (69.8%)

➁ 労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの:1,189 事業場(11.8%)

うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1か月当たり80時間を超えるもの:566事業場 (47.6%)

 

※1 法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。

※2 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね 100 時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね 80 時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため

 

大谷雄二

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