違法な長時間労働の疑い:パナソニック書類送検
大手電機メーカーのパナソニックが富山県内の工場に勤務する従業員に労使協定の上限を超える時間外労働をさせていたとして、厚生労働省富山労働局の砺波労働基準監督署(同県砺波市)は15日、労働基準法違反の疑いで、法人としての同社と工場で労務管理を担当していた幹部2人を書類送検した。
送検容疑は2015年12月~16年2月、砺波市の工場に勤務する2人の従業員に対し、労使協定の上限を超える違法な時間外労働をさせた疑い。同労基署によると、3人の1カ月当たりの最長の時間外労働は97~138時間で、労使協定の上限(80時間)を大幅に上回っていた。
パナソニックを巡っては、この工場に勤務していた40代の男性社員が昨年6月に亡くなり、同労基署が今年2月、長時間労働による過労が原因だとして労災認定した。同労基署は公表していないが、関係者によると、違法な時間外労働をさせられていた3人の中に過労死した社員が含まれているという。
パナソニックは書類送検されたことについて「事態を厳粛に受け止め、このような事態を二度と繰り返さないよう、全社を挙げて再発防止に取り組んでまいります」とコメントした。
(日本経済新聞電子版 2017/3/15より抜粋)
昨年の電通事件から大手企業の書類送検が相次いでいます。
2016/12/28 電通 法人と直属の上司1名書類送検
2017/1/11 三菱電機 法人と同社の幹部を書類送検(後に不起訴)
企業は従業員の時間外労働について、労使協定の上限時間を超えないように配慮する必要があります。
労使協定(36協定)と上限時間についての詳細は本Webコラムの「36協定の届出をきっかけに長時間労働のリスクについて考える」(2017/3/3)をご参照ください。
大谷雄二