健康保険から労災保険への切り替え手続きと一部変更点
業務中や通勤途上で発生した傷病や負傷には原則、労災保険が適用されます。(健康保険を使用することはできません。)
しかし、労災かどうかわからない場合など、とりあえず健康保険で治療を受けてしまったというケースはあるかと思います。
今回は、健康保険から労災保険への切り替え手続きの流れと、H29年2月から新たに追加された手続きについてお伝えします。
◆労災保険への切り替え手続き 【原則】
まずは、受診した医療機関に健康保険から労災保険に切り替えられるかどうか確認しましょう。
①診療費の締めが過ぎていなければ医療機関内の処理で切り替えてもらうことができます。
その際、労災保険の請求書と、当初の受診時に窓口で自己負担した金額の領収書を提出すれば返金されます。
②医療機関内で切り替えができない場合
加入している協会けんぽや健康保険組合(以下保険者という)に労災である旨を連絡します。
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保険者から医療費返納の通知と納付書が送られてくるので、それに従って返納金を納めます。
(受診時に窓口で3割を自己負担しているため、この時点では残りの7割を納付します)
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返納金の領収書と自己負担した領収書、保険者から送られてくるレセプトの写しを添えて、労働基準監督署に療養「費用」の請求書を提出します。
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労災と認められれば、支払った金額が返金されます。(通常ここまで数ヶ月かかります。)
◆新たに追加された切り替えの手続き
今年の2月より、健康保険から労災保険への切り替えをするにあたり、返納額(7割分)が高額で医療費の全額を負担することが困難な場合、被災労働者の申し出により、保険者の同意が得られれば、健康保険から支出される7割分を直接労働基準監督署から保険者に返金してもらうことができるようになりました。
この手続きには、保険者への同意書および労働基準監督署への委任状等、提出する書類は増えますが、被災労働者にとっては立て替えのリスクが軽減されるため安心感が違ってくると思います。
この場合、3割の自己負担分については別途、療養「費用」の請求書を労働基準監督署に提出しなければ返金されないため、こちらも忘れずに手続きすることが必要です。
このように被災労働者の負担を軽減するため、新たな手続きが追加されたとはいえ、後から切り替えることにより余分な手間と時間がかかることは事実です。
日頃から従業員に対して業務中や通勤途上の傷病・負傷が起こった場合には速やかに会社に報告し、労災保険を使うよう指導していくことが大切です。
野々山 環