特定労働者派遣事業(届出制)から労働者派遣事業(許可制)への切替
特定労働者派遣事業(届出制)から労働者派遣事業(許可制)への切替
平成27年9月30日の改正労働者派遣法により、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別は廃止され、すべての労働者派遣事業は、新たな許可基準に基づく許可制となりました。この改正により、特定派遣の新設はできなくなりましたが、施行日時点で届出をしていた特定労働者派遣の会社は、平成30年9月29日まで、許可を得ることなく引き続き特定派遣を行うことができる猶予期間が設けられています。
ここでは「特定派遣(届出制)と労働者派遣(許可制)の違い」と「申請から許可までの流れ」について、ご説明いたします。
【特定派遣(届出制)と労働者派遣(許可制)の違い】
特定派遣(届出制) | 労働者派遣(許可制) | |
派遣労働者の範囲 | 常用雇用労働者のみを派遣 | 常用雇用労働者、登録型・臨時の派遣等 |
更新 | 不要 | 最初は3年、以後5年毎 |
資産要件 | なし | あり |
事業所の面積要件 | なし | 事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上 |
事業開始までの期間 | 届出後即日 | 許可申請後、最短で2~3か月 |
派遣元責任者 | 派遣元責任者講習の受講・雇用管理経験不要 | 派遣元責任者講習の受講・3年以上の雇用管理経験→必要 |
職務代行者の選任 | 不要 | 必要 |
事業目的の明記 | なし | 登記簿謄本の目的に労働者派遣と明記 |
申請手数料 | なし | 1事業所:12万円分の収入印紙 2事業所目以降:5万5千円分の収入印紙 |
登録免許税 | なし | 9万円 |
※上記のように、特定派遣(届出制)と労働者派遣(許可制)では求められる要件が異なります。特に、「資産要件(決算書の内容)」・「定款の事業目的」・「事務所の面積要件」につきましては、修正することが難しいため、許可要件を満たすかを事前に確認しておくのが望ましいです。
【申請から許可までの流れ】
受理月(例えば4月中に申請)
↓
申請書類の提出・受理
↓
受理の翌月(5月)
↓
労働局内調査(実地・書類)
↓
受理の翌々月(6月)
↓
厚生労働省内審査・労働政策審議会
↓
1日付許可(7月1日許可取得)
※4/1に申請しても4/30に申請しても、許可取得日は同じになります。5/1に申請すると許可取得日が1ヵ月延びてしまうためご注意ください。上記は、審査が滞りなく進んだ場合のスケジュールになりますので、希望する許可取得年月日から逆算して余裕をもって申請書類をご準備ください。
東京労働局の発表では、現在都内で約15,000の事業主が届出(特定派遣)を行っているようです。15,000社のうち一部は、許可制への切替を検討していると考えられ、平成30年9月29日の猶予期間満了日が近づくにつれ、許可申請の窓口は大変混雑することが予想されます。
許可制への切替を検討されている場合は、早めの対応をお勧めいたします。
竹中 幹夫