配偶者控除・配偶者特別控除に関する平成29年改正
平成29年の税制改正等により、配偶者控除および配偶者特別控除の見直しが行われました。これにより平成30年分以後の所得(平成30年1月1日から平成30年12月以降の所得)から、新しい制度の適用が始まりました。
改正点のポイントは、以下の通りです。
- 毎月の給与計算の際の変更事項
- 配偶者に係る扶養親族等の数の計算方法が変わりました。税額表の甲欄を使用して源泉所得税額を求める場合、今までは、配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば、扶養者の数を「1」として計算したものが、改正により給与所得者の課税対象所得が900万円以下で配偶者の合計所得金額が85万円以下であれば、扶養者の数を「1」として計算することとなりました。つまり、給与所得者の課税対象所得が900万円を超える場合は、扶養者の数「0」として計算することになります。
- なお、上記の場合で、配偶者が障がい者に該当するときは、扶養者の数に「1」を加算することになります(例:配偶者分で「1」+障がい者分「1」=「2」)。
- ただし、給与所得者の課税対象所得が900万円以下で配偶者の合計所得が38万円を超える場合は配偶者が障がい者に該当しても被扶養者の数に「1」を加算しません。
- 年末調整の際の変更事項
- 年末調整の際に、今まで、給与所得者の課税対象所得が1,000万円を超える場合は、配偶者特別控除は受けられませんでしたが配偶者の給与収入が103万円以内であれば配偶者控除は受けることが出来ました。改正により、課税対象所得が1,000万円を超える場合は配偶者控除も配偶者特別控除も受けることができなくなりました。
- 今まで、給与所得者の課税対象所得が1,000万円以下であっても配偶者の給与収入が141万円を超えた場合は、配偶者特別控除は受けることが出来ませんでしたが、改正により、配偶者の給与収入が201万6,000円未満であれば配偶者特別控除の対象となることになりました。
- 今まで、給与所得者の課税対象所得が、1,000万円以下で配偶者特別控除の対象となった場合、配偶者の合計所得金額が38万円を超え76万未満でないと配偶者特別控除が受けられなかったのが、改正後は、38万円を超え123万以下であれば配偶者特別控除の対象となることになりました。
月次の給与計算で、給与所得者の課税対象額が900万以下となるかどうかの判断をするのが難しい計算対象者の場合は、一旦扶養計算から外して月次の給与計算をして、年末調整時に正しく処理するほうが、年末調整時の所得税額の不足額が出にくいため、実務的にはこのようなやり方で進めておくことがベターという考え方もひとつあります。
関根智樹