フレックスタイム制の注意点
「働き方改革」に向けて最近フレックスタイム制の相談が増えてきています。
その中でも相談が多かったことについて回答します。
Q1.始業時刻は朝礼があるからフレックスにしたくない。終業時刻だけフレックスに出来るか?
A1.始業時刻、終業時刻のうちどちらか一方だけを労働者の決定にゆだねている場合、始業時刻、終業時刻は労働者の決定にゆだねるとしながら、始業から必ず8時間は労働しなければならない旨義務付けている場合等は、フレックスタイム制とはみなされないことがあります。
また、フレキシブルタイムの時間帯が極端に短く、例えば30分しかないような制度や、当該フレキシブルタイムの時間帯が30分単位となっていて、その中から始業時刻または終業時刻を選ぶような制度は、始業及び終業時刻を労働者が自主的に決定しているとはいえず、フレックスタイム制の趣旨に反します。
Q2.実際に労働した時間が清算期間における総労働時間として定められた時間に対して不足が生じた場合どうするか?
A2.2通りの方法があります。
①当月の賃金支払時に清算(控除)する方法と、②当月分の賃金は控除せずに支払い、不足時間分を翌月の総労働時間に加算して労働させる方法があります。翌月の総労働時間に加算する場合の加算できる限度はその法定労働時間の総枠の範囲内でなければなりません。
②は当月分は働いていない時間についても控除せず支払いますので過払いになります。また翌月に繰り越せるのも法定労働時間の範囲内という制約がありますので、使い勝手がよいとは言えません。
Q3.遅刻や早退の取扱はどうなるか?
A3.遅刻や早退はコアタイムを設けている場合のみ発生します。
しかし、① 遅刻、早退をしても精算期間の総労働時間に不足がなければ控除できないという説と、②コアタイムに対する遅刻、早退時間は控除できるという説が対立しています。
人事考課でマイナス評価することや精皆勤手当の減額要素とすることは可能です。
(参考:東京労働局「フレックスタイム制の適正な導入のために」)
大谷雄二