「マイナンバーカードを保険証に」などを盛り込んだ健保法等の一部改正法案を国会に提出
マイナンバーカードを健康保険証としても使えるようにするための改正のほか、健康保険を使える被扶養者を原則として国内居住者に限ることにするなどの外国人労働者の増加に対応するための改正などが盛り込まれた健康保険法等の一部改正法案が国会に提出されました。
法案の正式名称は「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」。その概要や新旧対照条文などが公表されています。マイナンバーカードを健康保険証としても使えるようにするための改正は、「電子資格確認(オンライン資格確認)の導入」という形で行われます。その施行日は、「公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める日」と予定されています。
なお、被扶養者等の要件の見直しについては、2020(平成32)年4月1日からの施行が予定されているなど、施行が予定されている時期は、改正規定によって異なっています。
■改正の趣旨
医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るため、保険者間で被保険者資格の情報を一元的に管理する仕組みの創設及びその適切な実施等のために医療機関等へ支援を行う医療情報化支援基金の創設、医療及び介護給付の費用の状況等に関する情報の連結解析及び提供に関する仕組みの創設、市町村において高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する枠組みの構築、被扶養者の要件の適正化、社会保険診療報酬支払基金の組織改革等の措置を講ずる。
■改正の概要
1.オンライン資格確認の導入【健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)、船員保険法】
・オンライン資格確認の導入に際し、資格確認の方法を法定化するとともに、個人単位化する被保険者番号について、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止(告知要求制限)する。
2.オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設【地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律】
3.NDB、介護DB等の連結解析等【高確法、介護保険法、健康保険法】
・医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)について、各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関等への提供に関する規定の整備(審議会による事前審査、情報管理義務、国による検査等)を行う。
(DPCデータベースについても同様の規定を整備。)
4.高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等【高確法、国民健康保険法、介護保険法】
・75歳以上高齢者に対する保健事業を市町村が介護保険の地域支援事業等と一体的に実施することができるよう、国、広域連合、市町村の役割等について定めるとともに、市町村等において、各高齢者の医療・健診・介護情報等を一括して把握できるよう規定の整備等を行う。
5.被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化【健康保険法、船員保険法、国民年金法、国民健康保険法】
(1)被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、原則として、国内に居住していること等を追加する。
(2)市町村による関係者への報告徴収権について、新たに被保険者の資格取得に関する事項等を追加する。
6.審査支払機関の機能の強化【社会保険診療報酬支払基金法、国民健康保険法】
(1)社会保険診療報酬支払基金(支払基金)について、本部の調整機能を強化するため、支部長の権限を本部に集約する。
(2)医療保険情報に係るデータ分析等に関する業務を追加する(支払基金・国保連共通)。
(3)医療の質の向上に向け公正かつ中立な審査を実施する等、審査支払機関の審査の基本理念を創設する(支払基金・国保連共通)。
7.その他
・未適用事業所が遡及して社会保険に加入する等の場合に発生し得る国民健康保険と健康保険の間における保険料の二重払いを解消するため、所要の規定を整備する。【国民健康保険法】
■施行期日
平成32年4月1日(ただし、1については公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める日、2は平成31年10月1日、3並びに6(2)及び(3)は平成32年10月1日(一部の規定は平成34年4月1日)、5(2)及び7は公布日、6(1)は平成33年4月1日)
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参照ホームページ[厚生労働省]