アンガーマネジメント (怒りで後悔しないこと)について

H28年3月15日に東京都社会保険労務士会で「怒りの感情と上手く付き合うためのアンガーマネジメント」という研修がありましたので受講しました。

 

講師は、アドット・コミュニケーション(株)代表取締役 戸田久実先生です。

 

アンガーマネジメントとは「1970年代にアメリカで開発された怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング」のことです。

怒りを感じてはいけない、怒ってはいけないということではなく、怒る必要のあることには適切な怒り方をし、怒る必要のないことには怒らなくて済むようになることです。

つまり、「あの時、あんな怒り方をしなければ良かった。とか、あの時、怒っておけば良かった。」と後悔することのないよう、「怒り」の感情に振り回されずに上手に付き合うことができるようになることを目的としています。

会社での人間関係においても、怒りを無理に押さえ込み心身に不調をきたしたり、怒りをコントロール出来ずにパワハラ問題に発展することもあります。

このような問題解決の糸口としてアンガーマネジメントは社会保険労務士が知っておくべき有効なメソッドであるとのことです。

 

以下、研修内容のポイントをお伝えします。

 

◎問題となる「怒り」

・頻度が高い

 1日に何度も怒る、すぐに腹を立てる。

・強度が高い

 自分でもコントロール出来ないほどの強い怒りを感じる。

・持続する

 一度怒るとしばらく怒りが鎮まらない。一度鎮まっても、何かのきっかけでぶり返す。根に持つ。思い出すたび腹が立つ。

・攻撃性を持つ

 相手や自分を言葉や行動で攻撃したり、物を壊すことがある。

 

◎「怒り」は二次感情

 下記の一次感情が満たされないときに、「怒り」という二次感情が発生する。

 一次感情「不安、つらい、苦しい、痛い、心配、疲れた、寂しい、困った、悲しい、不満、悔しいetc.

 

◎「怒り」をマネジメントする

 アンガーマネジメントは「対処術」と「体質改善」からなる。

 花粉症に例えると。。。

 「対処術」は「薬」、「体質改善」は「毎日ヨーグルトを食べる」とか。

 

つまり、「対処術」は「テクニック的対処」で、「体質改善」は「怒りにくい頭にしていくこと」です。

 

◎「怒り」のピークは長くても6秒

 

◎「怒り」を数値化する

 おだやかな状態を0点、人生最大の怒りを10点として、怒りを感じたときは点数をつけてみる。すると少し冷静になれる。これを習慣化すること。

 

◎ボキャブラリーを増やす

 「怒り」を表す言葉のボキャブラリーが少ない人ほど、怒りの強度が高い。

 

◎「怒る」理由は?

 自分の「~であるべき」が破られたとき。

 「べき」→価値観、信条、期待、願望etc.

 

◎「べき」について

・「べき」は人それぞれ違う

 長年信じてきた「べき」は自分にとっての真実。ただし、すべての人にとっての真実でないことを理解すること。

・「べき」の程度も人それぞれ違う

 

◎心の器を大きくする

「べき」の境界線を明確にして、

・「知らせる」

 「言わなくてもわかるだろう」と思わずに具体的に伝える。

・「広げる」

 「べき」の許容範囲が狭いとイライラしがち。「べき」の境界線のワクを広げる努力。

・「安定させる」

 自分の機嫌で境界線を広くしたり、狭くしたりしない。

 

◎叱る時のポイント

1.「何」について、「なぜ」叱るのか、「どのように」改善して欲しいのかを具体的に伝える。

2.一度にひとつのことに限定する。

3.次のチャンスを与える。

4.「私」を主語にする。「あなた」を主語にすると責める感が強くなる。

5.相手の事情にも耳を傾ける。

※「私は正しい!」という気持ちで向かい合わない。→相手に改善してもらうことが真の目的

 

◎「怒り」を表現する時の注意点

・正確な表現を心がけること

・人格否定をしないこと

・「なぜ」を繰り返して相手を責めないこと

・過去のことを引っ張りださないこと

 

◎「怒り」の性質

・身近な対象にほど強くなる

・高いところから低いところへ流れる

・伝染しやすい

・エネルギーになる(怒りをバネにして成長する人もいる)

 

◎アンガーマネジメントのポイント

・怒らなくてもいいことには怒らない

・怒るとしても、表現方法や場所を選ぶ~怒りにまかせた行動をやめる

・自分の感情に責任を持つ

 

怒りの連鎖を断ち切ろう!

 

 

以上、ポイントだけお伝えしましたが、とても有意義な4時間の研修でした。

研修内容はもちろんですが、戸田先生が講師としてレベルが高いと思いました。

私も仕事で人前で話すことがありますが、戸田先生のように上手に話が出来るようになりたいと改めて思いました。

著書もありますので、興味ある方は読んでみてはいかがでしょうか。

 

所長:大谷雄二

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