「残業規制の悩み解決」中小企業向けのハンドブックが公表
厚生労働省から、「時間外労働の上限規制"お悩み解決"ハンドブック」が公表されています。「時間外労働の上限規制"お悩み解決"ハンドブック」は、中小企業の事業主の皆様に向けて、令和2年(2020年)4月からスタートする時間外労働の上限規制に対応するため取組を中心に、「働き方改革」の秘訣がまとめられています。
具体的には、労働時間の短縮に効果的と思われる労働時間制度(各種の変形労働時間制など)、時間外労働を短くするために利用できる助成金、マネできる他社の成功事例などが紹介されています。
なお、そのハンドブックで紹介されている時間外労働等改善助成金については、次のように、交付申請期限が延長されています。
・時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)
当初予定は令和元年11月29日〔ハンドブックに記載〕→「令和2年1月8日」
・時間外労働等改善助成金(団体推進コース)
当初予定は令和元年10月31日〔ハンドブックに記載〕→「令和元年11月29日」
■「働き方改革」の基本的な考え方
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働き手のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性の向上や、就業機会の拡大、意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが不可欠です。
働く方の置かれた事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりが、より良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。
■中小企業・小規模事業者の働き方改革
「働き方改革」は、日本国内雇用の約7割を担う中小企業・小規模事業者において、着実に実施することが必要です。魅力ある職場とすることで、人手不足の解消にもつながります。職場環境の改善などの「魅力ある職場づくり」が人手不足解消につながることから、人手不足感が強い中小企業・小規模事業者においては、生産性の向上に加え「働き方改革」による魅力ある職場づくりが重要です。
改革に取り組むに当たっては、「意識の共有がされやすい」など、中小企業・小規模事業者だからこその強みもあります。「魅力ある職場づくり」→「人材の確保」→「業績の向上」→「利益増」・「従業員への還元」の好循環をつくるため、「働き方改革」を進めてより魅力ある職場をつくりましょう。
■時間外労働の上限規制って何?ウチの会社も見直す必要がある?
労働者が法律の上限を超える時間(※)働く場合には、あらかじめ「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」が必要です。
2020年4月から、36協定で定めることができる時間外労働時間に制限(時間外労働の上限規制)ができます。
◆以下の事業・業務は、2024年3月31日まで上限規制の適用が猶予されます。
・建設事業・自動車運転の業務
・医師
・鹿児島・沖縄砂糖製造業(複数月平均80時間以内、月100時間未満のみが猶予の対象となります。)
◆新技術・新商品などの研究開発業務については、上限規制の適用が除外されています。
〇36協定の締結に当たって注意すべき4つのポイント
Point1
・「1日」「1か月」「1年」のそれぞれの時間外労働の限度を定める必要があります。
Point2
・1年の上限について算定するために、協定期間の「起算日」を定める必要があります。
Point3
・36協定では「1日」「1か月」「1年」の時間外労働の上限時間を定めます。この上限時間内で労働をさせた場合であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計が、月100時間以上または2〜6か月平均80時間超となった場合には、法違反となります。
・このため、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内とすることを、協定で定める必要があります。36協定届の新しい様式では、この点について労使で合意したことを確認するためのチェックボックスが設けられています。
Point4
・限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常予見することのできない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情がある場合に限ります。
★臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合の事由については、できる限り具体的に定めなければなりません。「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。
(臨時的に必要がある場合の例)
・予算、決算業務・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙・納期のひっ迫・大規模なクレームへの対応・機械のトラブルへの対応
〇過半数代表者の選任
・36協定の締結を行う労働者の代表は、労働者(パートやアルバイトなども含む)の過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する方(過半数代表者)が行う必要があります。
・過半数代表者の選任に当たっては、以下の点に留意する必要があります。
・管理監督者でないこと
・36協定を締結する人を選出することを明らかにした上で、投票・挙手などの方法で選出する
・使用者の意向に基づいて選出された人でないこと(※)
(※)会社による指名や、社員親睦会の代表が自動的に選出されることなどは不適切な選出となります。
・使用者は過半数代表者が協定締結に関する事務を円滑に遂行できるよう、必要な配慮(※)を行わなければなりません。
(※)事務機器(イントラネットや社内メールも含む)や事務スペースの提供など
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]
https://www.mhlw.go.jp/content/000567480.pdf