残業時間のリスクと今後の残業時間制について
「長時間労働=ブラック企業」というイメージが定着しました。
残業について最近の法改正や労働局の情報を残業時間ごとにまとめてみました。
・残業80~100時間超
厚生労働省は、平成13年12月に定めた「脳血管疾患及び虚血性心疾患(負傷に起因するものを除く)の認定基準」において、脳、心臓疾患と労災認定との関係について、以下のような見解を示しています。
- 発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合、または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強い。
→毎月80時間以上の残業をしている従業員さんが仕事中に亡くなり、過労死(長時間労働による突然死や自殺)として労災認定された場合、遺族から数千万円から1億円を超える損害賠償請求をされるリスクがあります。
・残業60時間超
平成31年4月からは、中小企業においても60時間を超える残業は時給単価の50%増で計算して残業手当を支払うことになる予定です。(現在は25%)
→残業60時間を超えるのが常態となっている職場では、残業時間削減の対策を検討する必要があります。
・残業45時間超
45時間を超える固定残業制度は違法として否認される可能性が高くなりました。
→労働省告示「労働時間の延長の限度等に関する基準」によりますと、1ヶ月の残業時間の上限は45時間までとされていて、36協定に特別条項を設けることによって最高で年6回まで45時間を超えることが出来ます。「たった45時間!?」と思われる方も多いと思いますが労働省告示ではそう定められているのです。そして、45時間を超えてよいのは年6回までです。
ということは45時間を超える固定残業手当を支給するということは毎月45時間を超える残業をさせることを想定しているとみなされて、否認される可能性が高まります。
以上を考慮の上、今後の労働条件を検討しますと次のようになります。
◎固定残業制度を導入している会社の場合
固定残業時間は45時間までにします。
固定残業時間を超えた時間については1.25倍にて支払う。この支払がないと固定残業制度自体が否認されます。
残業コスト削減のため、総残業時間は60時間以内に抑えるようにします。可能であれば45時間以内に抑えるのが望ましいです。
◎固定残業制度以外の会社の場合
残業コスト削減のため、総残業時間は60時間以内に抑えるようにします。可能であれば45時間以内に抑えるのが望ましいです。
所長:大谷雄二