脳・心臓疾患の労災認定基準、約20年ぶりの見直しへ
厚生労働省の「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」は、脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する報告書を取りまとめ、公表しました。厚生労働省では、この報告書を受け、速やかに脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、業務により脳・心臓疾患を発症された方に対して、適正な労災補償を行っていくとのことです。脳・心臓疾患の労災認定基準の見直しは約20年ぶりとなります。
■報告書の概要
【業務の過重性の評価(業務と発症との関連性)】
業務による「長期間にわたる疲労の蓄積」と「発症に近接した時期の急性の負荷」が発症に影響を及ぼすとする現行基準の考え方は妥当
■現行基準が適切と判断
長期間の過重業務
労働時間
・発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症との関連性は強い(※)
・月45時間を超えて長くなるほど、関連性は強まる
・発症前1~6か月間平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱い
労働時間以外の負荷要因
・拘束時間が長い勤務
・出張の多い業務など
■現行基準に新たに取り入れることが適切と判断
長期間の過重業務
・労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められ、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと評価できることを明示
・労働時間以外の負荷要因として、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」及び「身体的負荷を伴う業務」を新たに規定し、他の負荷要因も整理
短期間の過重業務・異常な出来事
・業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
→「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合」等を例示
【対象疾病】
・認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」を追加
厚生労働省では、この報告書を受け、速やかに脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、業務により脳・心臓疾患を発症された方に対して、適正な労災補償を行っていくこととしています。
■脳・心臓疾患の現状
人口動態統計1による昭和22年から令和2年までの期間における主要疾患死亡率の変動をみると、下図のとおり、心疾患が悪性新生物に次いで増加を続けており、死因の第2位を占めており。脳血管疾患は昭和46年からみると減少傾向にあるが、老衰に次いで死因の第4位であり、これらの脳・心臓疾患は依然として高い水準を占めています。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html