まず、アンラーン(unlearn)から始めよう
ガジェットと読書をこよなく愛する社労士、山岡です。
今回は、最近読んだ本について紹介したいと思います。
その本は「教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術」というものです。
ビジャレアルというのは、スペインにあるサッカーチームのことで、
先日の東京オリンピックで日本代表メンバーとして活躍した久保建英選手が一時期在籍したチームでもあります。
私にとって学びがあったものを2つピックアップしていきます。
①今回の指導改革がスタートしたとき、佐伯さんたちコーチ陣は、
指導改革をリードするメソッドダイレクターのセルヒオ・ナバーロにこう言われたそうです。
『いやいや、あなたたちはどんな選手を育てたいの?
結局さ、誰かが「はい、こうこう、こうしますよ」ってみんなに指示を出すことで、何が得られるのかな?
あなたたちがどういうチームにしたいのか。どういうクラブにしたいのか。どんな指導者になりたいのか。
どういう選手であってほしいのか、っていうのを自分たちでアイデアを出し合って、自分たちで決めていく。
そうやってみんながある程度了解した状態でプロジェクトを進めてこそ、納得感があるから足並みが揃うし、
意味が出てくるんじゃないのかな?』
私は、この「納得感」というものは大事だなと感じました。
組織というものは往々にして、上から指示が出て、それに従って動き出すものです。
もちろんそれも一つの在り方であり、上手くいくケースもあります。
でも、みんなで話し合い、アイデアを出し合って、自分たちで決めていく。
そうやって進めてこそ「納得感」「腹落ち感」というものが醸成されるのではないでしょうか。
綺麗事だと言う人もいるかもしれませんが、組織運営においては、この「納得感」というものを重視していきたいと感じました。
②「まず、アンラーンから始めよう」
アンラーン(unlearn)というのは、本書では「学び壊し」と訳されています。
改革のプロセスの中で、「とにかく、一周しておいで」という言葉がコーチ陣の間で流行ったそうです。
『何か自分がずっと信じていることがあるとして、その考え方に長く居座っていたけれども、
一度ぐるっと一周回ってまったく違うものを見てきてはどうか。
動いたこともないのに、他を否定するのはもったいない。だから、とにかく一周して、それから何が良いのかを考えてみようじゃないか』ということだそうです。
こだわりを持つことは大事なことですが、それが強すぎると、視野が狭まり、他者の意見を聞くことができなくなってしまう。
結果として、成長が止まってしまうこともあるかもしれません。
当時、著者の佐伯さんが譲れなかったのは「規律」でした。
アスリートとしての規律を選手に求めていたのです。
時間を守る、オフでも遅くまで飲みに行かない、などと考えていたようですが、
よくよく考えるとなんだかおかしいと気づいたそうです。
20歳くらいの選手がオフの日、ストイックに家で野菜だけ食べているのだろうか。
それが彼らのためになるのか。
いや、違うよねと思えるようになり、それが佐伯さん自身の進化だと語っています。
自分が大事だと思い込んでいる常識や信念みたいなものが、自分の成長を妨げることはよくあることです。
「習慣化している」「なぜそれをやるのか説明できない」「信じてやまない」
そういったことにこそ、あえて「?」マークをつけ疑っていくことで、
新しい世界が開けていくかもしれません。