新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)が更新されました
厚生労働省から、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」が更新されています。「労災補償」の問10と問11を更新したということで、その内容(厚生労働省の見解)を確認しておくことをお勧めします。問10は「労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか。」、問11は「 「医療従事者等」や「高齢者施設等の従事者」とは、具体的にどのような方を想定しているのでしょうか。」という設問になっています。特に「高齢者施設等の従事者」の範囲は多岐にわたっているので、該当するかどうか確認しておくことをお勧めいたします。
問10 労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか。
ワクチン接種については、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められず、これを受けることによって健康被害が生じたとしても、労災保険給付の対象とはなりません。
一方、医療従事者等に係るワクチン接種については、業務の特性として、新型コロナウイルスへのばく露の機会が極めて多く、医療従事者等の感染、発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要です。
したがって、医療従事者等に係るワクチン接種は、労働者の自由意思に基づくものではあるものの、医療機関等の事業主の事業目的の達成に資するものであり、労災保険における取扱いとしては、労働者の業務遂行のために必要な行為として、業務行為に該当するものと認められることから、労災保険給付の対象となります。
なお、高齢者施設等の従事者に係るワクチン接種についても、同様の取扱いとなります。
問11 「医療従事者等」や「高齢者施設等の従事者」とは、具体的にどのような方を想定しているのでしょうか。
医療従事者等については、病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある医師その他の職員等を指します。
高齢者施設等の従事者については、介護保険施設等、高齢者及び基礎疾患を有する者が集団で居住する施設で従事する者等を指します。
具体的な範囲については、下記を参照してください。
【医療従事者等の範囲について】
(1)医療従事者等に早期に接種する理由として、以下の点が重要であることを踏まえ、具体的な範囲を定める。
・業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者や多くの疑い患者(注)と頻繁に接する業務を行うことから、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多いこと
・従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること
※ なお、ワクチンの基本的な性能として発症予防・重症化予防が想定され、感染予防の効果を期待するものではないことから、患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意(医療従事者等は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれるものの、最終的には接種は個人の判断であり、業務従事への条件とはならない)
注 疑い患者には、新型コロナウイルス感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感
染症患者かどうか分からない患者を含む。
(2)医療従事者等の範囲は以下とする。
○ 病院、診療所において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある医師 その他の職員
※ 診療科、職種は限定しない。(歯科も含まれる。)
※ 委託業者についても、業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、医療機関の判断により対象とできる。
※ バックヤードのみの業務を行う職員や単に医療機関を出入りする業者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接することがない場合には、対象とはならない。
※ 医学部生等の医療機関において実習を行う者については、実習の内容により、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する場合には、実習先となる医療機関の
判断により対象とできる。
※ 訪問看護ステーションの従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。
※ 助産所の従事者で、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接する場合には、病院、診療所に準じて対象に含まれる。
※ 介護医療院、介護老人保健施設の従事者についても、医療機関と同一敷地内にある場合には、医療機関の判断により対象とできる。
なお、介護療養型医療施設の従事者は、病院・診療所と同様に医療従事者等の範囲に含まれる。
○ 薬局において、新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者(注)を含む。以下同じ。)に頻繁に接する機会のある薬剤師その他の職員(登録販売者を含む。)
※ 当該薬局が店舗販売業等と併設されている場合、薬剤師以外の職員については専ら薬局に従事するとともに、主に患者への応対を行う者に限る。
○ 新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員等、海上保安庁職員、自衛隊職員
※ 救急隊員等の具体的な範囲は、新型コロナウイルス感染症患者の搬送に携わる、①救急隊員、②救急隊員と連携して出動する警防要員、③都道府県航空消防隊員、④消防非常備町村の役場の職員、⑤消防団員(主として消防非常備町村や消防常備市町村の離島区域の消防団員を想定)。
(参考)「医療従事者等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種における接種対象者について」
(令和3年1月15日付け消防庁消防・救急課、消防庁救急企画室、消防庁国民保護・防災部地域防災室、消防庁国民保護・防災部広域応援室事務連絡)
○ 自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務において、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する業務を行う者
・患者と接する業務を行う保健所職員、検疫所職員等
(例)保健所、検疫所、国立感染症研究所の職員で、積極的疫学調査、患者からの検体採取や患者の移送等の患者と接する業務を行う者。
・宿泊療養施設で患者に頻繁に接する者
(例)宿泊療養施設において、健康管理、生活支援の業務により、患者と頻繁に接する業務を行う者。
・自宅、宿泊療養施設や医療機関の間の患者移送を行う者
・自治体が新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の特設会場を設ける場合に、予防接種業務に従事する者であって、新型コロナウイルス感染症患者と頻繁に接すると当該特設会場を設ける自治体が判断した者
注 疑い患者には、新型コロナウイルス感染症患者であることを積極的に疑う場合だけでなく、発熱・呼吸器症状などを有し新型コロナウイルス感
染症患者かどうか分からない患者を含む。
【高齢者施設等の従事者の範囲について①】
対象の高齢者施設等には、例えば、以下の施設であって、高齢者等が入所・居住するものが含まれる。
○ 介護保険施設
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・介護老人保健施設
・介護医療院
○ 居住系介護サービス
・特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者
生活介護
・認知症対応型共同生活介護
○ 老人福祉法による施設
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・有料老人ホーム
○ 高齢者住まい法による住宅
・サービス付き高齢者向け住宅
○ 生活保護法による保護施設
・救護施設
・更生施設
・宿所提供施設
○ 障害者総合支援法による障害者支援施設等
・障害者支援施設
・共同生活援助事業所
・重度障害者等包括支援事業所
(共同生活援助を提供する場合に限る)
・福祉ホーム
○ その他の社会福祉法等による施設
・社会福祉住居施設
(日常生活支援住居施設を含む)
・生活困窮者・ホームレス自立支援センター
・生活困窮者一時宿泊施設
・原子爆弾被爆者養護ホーム
・生活支援ハウス
・婦人保護施設
・矯正施設
(※患者が発生した場合の処遇に従事する職員に限る)
・更生保護施設
【高齢者施設等の従事者の範囲について②】
市町村は、以下の①から③のすべてに該当する場合、居宅サービス事業所等及び訪問サービス事業所等の従事者を「高齢者施設等の従事者」に含めて、優先接種の対象とすることが可能。
① 市町村が、必要に応じて都道府県に相談した上で、地域の感染状況、医療提供体制の状況等を踏まえ、感染が拡大した場合に、自宅療養中の高齢の患者等に対して介護サービス等や障害福祉サービス等の継続が必要となることが考えられると判断した場合
② 居宅サービス事業所等及び訪問サービス事業所等が、新型コロナウイルス感染症により自宅療養中の高齢の患者・濃厚接触者に直接接し、介護サービス・障害福祉サービスの提供等を行う意向を市町村に登録した場合
③ ②の事業所等の従事者が、新型コロナウイルス感染症により自宅療養中の高齢の患者等に直接接し、介護サービス・障害福祉サービスの提供等を行う意思を有する場合
高齢者施設等の従事者に含まれる在宅サービスの例
○居宅サービス等(介護)の例
・訪問介護
・訪問入浴介護
・訪問リハビリテーション
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・居宅療養管理指導
・通所介護
・地域密着型通所介護
・療養通所介護
・認知症対応型通所介護
・通所リハビリテーション
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
・福祉用具貸与
・居宅介護支援
○訪問系サービス等(障害)
・居宅介護
・重度訪問介護
・行動援護
・同行援護
・重度障害者等包括支援(訪問系サービス等を提供するもの)
・自立生活援助
・短期入所
・生活介護
・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・就労移行支援
・就労継続支援(A型、B型)
・就労定着支援
・計画相談支援
・地域移行支援
・地域定着支援
(注)地域生活支援事業(訪問入浴サービス、移動支援事業、意思疎通支援事業、専門性の高い意思疎通支援を行う者の派遣事業、地域活動支援センター、日中一時支援、盲人ホーム、生活訓練等、相談支援事業)を含む。
詳しくは下記参照先をご覧ください。