職業安定法施行規則の一部を改正する省令案要綱を提示
厚生労働省から、「第357回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」の資料が公表されています。今回の部会で、「職業安定法施行規則の一部を改正する省令案要綱」が提示されています。
この省令の改正案には、労働者の募集や職業紹介事業者が職業紹介を行う場合等において求職者等に対して明示しなければならない労働条件に、「有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(当該更新回数の上限等を含む。)並びに就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」を追加することなどが盛り込まれています。これは、労働基準法施行規則の改正に連動した改正を行おうとするものです。施行期日は、令和6年4月1日と予定されています。
■職業安定法施行規則の一部を改正する省令案(概要)
1.改正の趣旨
・「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」(令和4年12月27日労働政策審議会労働条件分科会)において、労働契約の締結に際に明示すべき労働条件について、就業場所・業務の変更の範囲や、有期労働契約の更新上限の内容等を追加することが適当である等を内容とする検討結果がとりまとめられ、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)の改正が行われるなど、労使の予見可能性の向上や紛争の未然防止等のための制度の見直しが進められている。
・また、行政手続一般について、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)に基づき、デジタル庁で国・地方の構造改革を担う「デジタル臨時行政調査会」の下、行政手続におけるアナログ規制について具体的な点検・見直し作業が開始されたところ。
・こうした情勢に鑑み、職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)において、労働者の募集等の際に明示すべき労働条件等の追加及び有料職業紹介事業における手数料表等の掲示方法の見直しを行うもの。
2.改正の概要
(1)明示すべき労働条件等の追加について
【職業安定法施行規則第4条の2第3項関係】
・労働者の募集や職業紹介事業者が職業紹介を行う場合等において、求職者等に対して明示しなければならない労働条件に、有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(当該更新回数の上限等を含む。)並びに就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を追加する。
(2)有料職業紹介事業における手数料表等の事項についての掲示方法について
【職業安定法施行規則第24条の5第4項関係】
・有料職業紹介事業者は、手数料表、返戻金制度に関する事項を記載した書面及び業務の運営に関する規程を事業所内に掲示する義務があるところ、事業所内の掲示に限らず、インターネット等その他の適切な方法によって情報の提供を行うことができることとする。
3.根拠条項
・職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第5条の3第4項
・職業安定法第32条の13
4.施行期日等
・公布日:令和5年6月下旬(予定)
・施行期日:令和6年4月1日
【参考資料 労働条件明示の追加について】
令和5年4月21日第356回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料1
■制度の現状
•職業安定法では、業務の内容等の労働条件を明示しなければならないこととしている(明示事項は省令)
明示事項:業務内容、労働契約の期間、試用期間、就業場所、始業・終業時刻等、賃金、社会保険等の適用、使用者の名称、派遣労働者である場合はその旨、受動喫煙防止措置
義務の主体:公共職業安定所、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者等
明示時点:職業紹介や労働者の募集等に当たり
明示する対象:求職者、労働者になろうとする者等
•また、労働基準法では、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金、労働時間等の主要な労働条件について明示しなければならないとされている。
明示事項:労働契約の期間、有期労働契約の場合は更新する場合の基準、就業場所、就業すべき業務、始業・終業時刻等、賃金の決定方法等、退職に関する事項、等
•職業安定法に基づく労働条件明示は、労働基準法に基づく労働契約締結の際の労働条件明示の前段階の職業紹介や労働者募集の時点で行われるものである。異なる事項もあるが、業務内容、就業場所、労働契約の期間等の主要な事項については共通しており、労働基準法と併せて、労働条件が不明確なことによる紛争の未然防止や適切なマッチングに資するものである。
■見直しの検討の背景
・労働基準法施行規則の改正により、令和6年4月1日から労働契約締結の際の労働条件明示事項が追加。
・雇用・労働総合政策パッケージの中で、労働市場の強化・見える化を推進。
■対応案
・職業紹介、労働者の募集等において、求職者等に対して明示しなければならない事項について以下を追加
①従事すべき業務の変更の範囲
②就業の場所の変更の範囲
③有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)1
【手数料等の書面掲示義務(アナログ規制)について】
■制度の現状
•職業安定法施行規則第24条の5第4項において、有料職業紹介事業者に対し、手数料表、返戻金制度に関する事項を記載した書面及び業務の運営に関する規程の明示義務について、事業所内の一般の閲覧に便利な場所に掲示によることを規定している。
■見直しの検討の背景
•「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)の下、デジタル庁で国・地方の構造改革を担う「デジタル臨時行政調査会」(以下「調査会」という。)で策定された「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」において、各府省庁は「調査会」と連携し、アナログ規制・制度の見直しを行っていくこととされている。
•点検・見直しの対象となるアナログ規制は7類型に整理されており、そのうちの一つとして「書面掲示規制」がある。
•インターネットの普及等により、求職者等の利用者にとって、事業所内への掲示以外の方法でも利便性が損なわれない状況になっている。
■対応案
•有料職業紹介事業者の手数料表、返戻金制度に関する事項を記載した書面及び業務の運営に関する規程を、事業所内の掲示に限らず、インターネット等によっても情報の提供を行うことができることとする。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32844.html