「労働基準関係法制研究会」の報告書を公表します

今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年法律第71号)附則第12 条に基づく労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行うことを目的として、「労働基準関係法制研究会」(座長:荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)において検討が行われてきたところですが、本日、研究会の報告書がとりまとめられましたので、公表いたします。

・はじめに
本研究会においては、労働基準関係法制として、個別的労働契約関係について最低基準を設定し、その実効性を担保することを目的・意義とする労働基準法を中心とした、個別的労働関係に関する法律群を念頭に議論を行います。

具体的には、刑事罰、行政監督等の公的手段によってその実効性を担保される法律(労働基準法、最低賃金法など)や、これらに関連する個別的労働関係に関する法律として、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律など、それぞれの目的の中で労働者の保護等に関する条項を含むものもあり、このような法律とその関係も踏まえつつ検討します。

・労働基準関係法制を巡る現下の情勢
労働基準法は、労働保護法制の基本法として、罰則付きの強行規定により、労働条件の最低基準を設定するものです。
現代においては、定年の廃止や延長、継続雇用による職業人生の長期化、キャリアチェンジや副業・兼業等によるキャリアの複線化が進んでおり、働く人もその働き方も、その変化に対応して個別化・多様化しています。
こうした社会や経済の構造変化も踏まえつつ、単なる規制の見直しを超えて、労働基準関係法制が果たすべき役割や将来像について抜本的な検討を行う必要があります。

・労働基準関係法制の構造的課題
労働基準関係法制は、労働者に対して、共通に妥当する最低労働基準を一律に規定するという形を基本に制定されています。
しかし、前述のとおり社会や経済の構造変化は更に加速度を増しており、労働基準関係法制の見直しをどこまで進めていくのか、どのような手法で進めていくのかといった課題が生じています。

労働基準関係法制の見直しについては、これまでのところ、労働者の働き方の多様化等に対応する形で、規制の多様化も行われてきました。 しかし、一律の最低労働基準だけでは働き方の多様化等に対応できておりません。 また、個別の企業、事業場、労働者の実情に合わせて法所定要件の下で法定基準を調整・代替するために、様々な制度が取り入れられてきました。一方で、規制の内容が複雑化し、労働者にとっても使用者にとっても分かりづらいものとなってしまっている現状もあります。

したがって、保護が必要な場面においてはしっかりと労働者を保護することができるよう、原則的な制度を、シンプルかつ実効性のある形で法令において定め、その上で労働基準関係法制の意義を堅持しつつ、労使の合意等の一定の手続の下に個別の企業、事業場、労働者の実情に合わせて法定基準の調整・代替を法所定要件の下で可能とすることが、今後の労働基準関係法制の検討に当たっては重要であるといえます。

・本研究会の目的・研究の視点
新しい時代を見据えた労働基準関係法制の課題を整理することを目的として、全ての働く人を「守る」ことと、働く人の多様な希望を「支える」ことの2つの柱をどのようにして両立していくべきかという視点や、前述のような社会や経済の構造変化にどのように対応するべきかという視点に立って、労働基準関係法制の将来像について抜本的な検討を加えるとともに、現在直面している厚生労働行政の課題を踏まえ、喫緊に対応しなければならない課題として、どのようなものがあるかについて、専門的見地から研究し、報告することを目的として設置されました。

・本研究会における検討の柱
これからの労働基準関係法制の検討にあたって

1:全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに働き続けることのできる社会を目指すということ                       【「守る」の視点】
2:働く人の求める働き方の多様な希望に応えることのできる制度を整備すること(様々な働き方に対応した規制)【「支える」の視点】
の二つの視点が重要であるとされています。

「守る」と「支える」の視点を両立するためには、まず、保護が必要な場面においてはしっかりと労働者を保護することができるよう法令において定められた最低労働基準としての規制の原則的な水準を守りつつ、多様な働き方を支える仕組みとすることが必要です。

そのためには、それぞれの規制において適切な水準が担保されることを前提に、労使の合意等の一定の手続の下に個別の企業、事業場労働者の実情に合わせて法定基準の調整・代替を法所定要件の下で可能とする仕組みとなっていることが必要であり、こうした仕組みが有効に弊害なく機能するためには、それを支える基盤として実効的な労使コミュニケーションを行い得る環境が整備されていることも必要となります。

また、「守る」と「支える」の視点から労働基準法を考えるに当たっては、法的効果の対象となる「労働者」をどのように捉えるのかといった、労働基準関係法制に共通する総論的課題も踏まえた検討も必要になります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001370269.pdf
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